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2008年3月10日 (月)

ノンフィクション。

それは、週末に実家へと帰る「東名高速道路」の上だった。

時刻は、夕方の6時半を少し過ぎたあたり。私は、RX-8を西から東に向かわせていた。夕暮れ時。走行車線も、追い越し車線もクルマの波で満ちている。私は、追い越し車線の中をゆっくりと流していた。ギアは5速/3500rpm、ほぼ100km/hで巡航中。どのクルマも同じリズムで走っていた。あと30分弱で降りるべきインターチェンジにたどり着く予定だった。

前を走るファミリーカーの車幅灯が道路の継ぎ目をひろって、同じサイクルで上下に動いている。両車線も動きがない。ふと、一瞬止まっているような錯覚を受ける。しかし実際には毎時100kmのスピードで、お互いに移動しているのだ。前後の車間は2車両分もあるまい。もし、今前のクルマと接触するば、ただでは済まないだろう。私は、僅かにアクセルを緩め、前との車間を開けた。

それまで無かった違和感を後方に感じた。「バイブレーション」&「パッシング」。クルマの波を左右にかいくぐるようにヘッドライトが接近し、クルマの機影が私の背後から、右側の走行車線に移った。
BMWだった。白かそれともシルバーか、夕闇の中で、車体の色をハッキリと確認できない。不釣り合いに低い車高。ハの字に開いたタイヤ、マフラーも大径のものに交換してあるのだろう。3シリーズらしかったが、一言でいえば「下品」。そんなクルマだった。BMWが加速して私の横に並んだ。走行車線から前に出て、無理矢理私の前に割り込むつもりだろう。

それまでのリズムを乱す輩(やから)。私はそう判断した。いままでのRX-8であれば、この状態から急加速するのは、ギアを1ついや、2つは落とさなければならなかった。
「新しいロータリーエンジン=レネシス」は、これまで「ロータリーエンジン」の恥部といわれた低速での不整脈爆発にともなう「ガクガク」感を完全に解消していたが、それでもレシプロエンジンに比べ、トルク感のなさが否めなかった。トランスミッションのギア比でそれを補っている部分があるのが現実だった。

しかしこの時、私はギアを素早く、一つだけ落とし、アクセルを踏んだ。それまで美しい旋律を奏でていた「レネシスエンジン」が咆哮を上げ、同時に野獣のような轟音と共に車体が加速する。アクセルの開度に反応して電磁クラッチが作動、「ルーツ式2葉タイプのスーパーチャージャー」が目を覚ました。小倉クラッチ製のコンプレッサーの中で「繭型の2つのロータ」が互いに反対方向に回転しつつ、空気を圧縮し「レネシスエンジン」へと過給する。ブースト計の針は、0.4hkpa(ヘクトキロパスカル≒0.4kfg/cm2)を指し、回転計が一気に5000rpmまではね上がる。

車速は、一気に130km/hまで上がる。一旦開いた、前のクルマとの車間があっと言う間に縮まる。「BMW」は、前にでることができず、再び私の後方にピッタリと貼り付く。
走行車線は、トラックの群れで埋まっている。背後のBMWが左右に踊りだす、私の前には、余裕が出来つつ有る。「そこをどけ!」BMWの動きがそう告げていた。

もう一つの影が後方から近づいてきた。BMWの後方から右へと移動し、一瞬の間をついてRX-8の前に入られた。白い塊。ポルシェだ。いいコンビネーションだ。独特なテールに「GT3」のエンブレムが目に入る。
一瞬、ブレーキを踏んだ瞬間、BMWにも前に入られる。アクセルを踏む、再び、「スーパーチャージャー」が唸りを上げる。クルマ全体が振動し、加速を再開する。140、150km/h、回転計の針が6000rpmが少し越えたあたりでギアを5速へ上げる。RX-8のデジタルメーターが165km/hを越えたが、加速は衰えない。しだいに、BMWとGT3の姿が近づいてくる。回転計が6500rpmを越えた。更にアクセルを踏み込む。RX-8は当然のように加速する。

突然、大きなショックと共に加速が鈍った。レッドソーンまでは、後1500rpmはある筈だ。速度計を見ると180と181の数字が交互に点滅していた。「速度リミッターの作動」。

私はアクセルから足を離した。見る間に速度が落ちていく、ブースト計もマイナス側に針の先を指している。BMWとGT3の姿が小さくなっていった。
気がつくと降りるべきインターチェンジまで2kmの表示が見えた。私は、「レネシスエンジン」と「私のこころ」をクールダウンさせながら、インターの出口へとむかった。

*「これ」つけようかなぁ(笑)。

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